夢日記 落ちる飛行機

戦況は悪化しているらしい。民間人には知る術もないが飛行機に乗って疎開することになった。灰色の空を背景に巨大な灰色の輸送機が離陸する。その中の一席にいて窓の外を眺めていた。やけに高い輸送機の天井にエンジン音が反響している。どこからかぼそぼそと話す声も聞こえる。ふと暗い予感を覚えた。

不意に視点が切り替わり、テレビの映像のように自分の乗っている輸送機を側面から見ていた。少しずつカメラが引いていき視界の端に一台の飛行機が現れた。これは戦闘機で輸送機を追っているのだ。今は遥か後ろにいるがやがて追いつくだろう。輸送機は落ちる、自分は死ぬ、と一瞬にして思考が細く尖って結論に突き刺さった。

死にたくないので輸送機の席に縮こまってぶるぶる震え出した。そのまま出来るだけ小さくなって戦闘機の目に止まらなくなれないだろうか。他に子供も乗っているのにあんまりだ。非戦闘員への攻撃は条約で禁止されているのではないか。

しかし輸送機は落ちた。なんの衝撃もなかった。「飛行機が落ちた」という文字列が駅の電光掲示板のように脳内を流れて、ああ落ちたんだなと思った。夢は現実の体験が元になっているというが、墜落したことがないので想像できなかったのだろう。