夢日記 2023/03/09
舞台がもうすぐ始まる。楽屋で役者が忙しく身支度をしていた。それを手助けするのが自分の仕事だ。
白いかつらをかぶって鏡をのぞき込む女優に青いスポンジを渡すと女優はそれでピンクのチークをすくって頬骨に伸ばした。向かいではオレンジの巻き毛の男が孔雀の羽ペンで顔に複雑な模様を書き込んでいた。
急に楽屋の向こう側でわあっという声が上がった。
「1人足りない!」
どうやら一番最初の出し物であるラインダンスの人数が足りないようなのだ。
「代わりに出てくれ。時間がない」
黒い服を着た男が私の腕を強くつかんだ。他の衣装係も集まってきてあっという間にレオタードの衣装を着せられてしまった。
何がなんだか分からないままに文字通り舞台に躍り出た。途端に客席の視線が集まる。強いライトと相まって頭がくらくらした。しかし体は自然と動き、一糸乱れぬ集団の一部になっていた。
「踊り子も悪くないかもしれない」
喝采を受けながら私は華やかな高揚感に包まれていた。